里加子サロンのひととき
長崎での2日間のアトリエ・ショーが無事に終わりました。みなさま、ありがとうございます。
里加子サロンは、まるでCabinet of curiosities(キャビネット・オブ・キュリオシティーズ) と私房菜(Home Cuisine)をマリアージュさせた「風の時代」にふさわしい味わいと深みのあるサロンでした。
Cabinet of curiosities(キャビネット・オブ・キュリオシティーズ)とは15世紀ごろのヨーロッパ貴族の趣味でそれが展開して博物館や美術館へ育っていった、人類の好奇心の起源のようなものです。
旅や冒険のあかつきに謎に満ちた異国から持ち帰る蒐集品が入った展示用のキャビネットから来ています。
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そして私房菜(Home Cuisine)とは東洋の国々で自宅で食べさせる自身の個性や特徴に特化させた半プライベート食事処です。仰々しい店構えではなく、隠れ家的な風情で自宅の玄関からお邪魔して“特別の“お料理をいただきます。
色の専門家である鳥沢先生を通じてこのサロンの主人、里加子さんがくらしのドレスを気に入ってくださり、共感いただきまるで “風のように” 南麻布のアトリエに遊びに来ていただいたところからこの長崎でのアトリエ・ショーへと育っていきました。
最近ネット用語で聞く「サロン」ですが、このコトバの歴史的ルーツを調べてみました。以下、By Oxford dictionary of English (2nd Edition revised)
このもともとのサロンの意味を踏まえて『里加子サロン』の素晴らしさをお伝えしたいと思いました。
①旅と自由
②好奇心とquest : 探究 (pilgrim : 巡礼)
③人生を愉しみ、切り拓く美意識
世界各地を自由に、テーマを持って旅する中で、面白い!良い!と思うものを見つけてしまいます。従来ではここで“バイヤー“というカタチでビジネスに紐付けられるのが落とし所なのかもしれません。
しかし里加子さんはモノではなくて美意識や知恵を持ち帰ります。何に紐付けられるか、られないかは自分が決める、それこそが自由で優雅な精神ですね。
美術館でいえば、キュレーションする本来の自由なスピリットこそ、サロンの姿なのでしょう。セレクトショップもレストランも本質の純度を上げていくと小規模でごく個人的なサロン的になっていきます。
昨今のビジネス用語でよく登場する「スケールしない・スケールする」という成長戦略のタームですが、ちょっと待って!それ誰が決めた?ハイスキルモデルじゃダメ、再現性のあるロースキルモデルにしなきゃ!」いやいやそれ誰が決めたの?誰のためにかな?と立ち止まれる知性も大切ですね。
サロン主人のお気に入りのアンティークショップ、そこに併設されていた大村湾の眺望が美しいカフェ。いただく新鮮な手料理、世界中を旅してテーマを持って探究された体験談の数々。好奇心や探究心を自由に解放させてあげる中で、多くの知恵や美意識を焚き込んでおられます。
2021年、ふつうの想像を遥かに超えてくる前例の無い出来事、あるいは大きな価値の転換を迎えます。いかなる人にも等しくリスクがあり時間と空間という機会が与えられる状況に向かっています。
姉の親友でもあった里加子さんが持っておられる能力の一部分を僭越ながら一言で表現するならば『サバイバル美学』だと思いました。サバイバル学ではなくて、いかに美味しく、素敵に、愉しく生きるか?知恵の泉を焚き込みに今後また伺います。とにかく「きゃーっリカコちゃん!可愛い、そして面白い子」だったとは姉の弁でした。
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くらしのドレス、オーダーメイド、愉しく対話させていただき、それぞれにご注文いただきました。ありがとうございます。時代の境目に、長崎の霊性にも触れるリトリートでもありました。クリスマスも迫ったこの時期に、2020年の素晴らしい締めくくりを行うことができました。ホントありがとうございま-す!